あれから14年もたったんだ。。
その日は、はっきりと確信があったわけでもないのに、
仕事を休んで、母に家に来てもらっていた。
1年前にキリという子をリンパ腫で亡くした時に
うっかりペットロスになってしまったこともあり、
サクラをひとりで看取るのは耐えられないと思ったんだろう。
今でもはっきりと覚えているのは
リビングで時々サクラの寝息を確かめながら母と静かに過ごしていると、
桜吹雪のようなボタン雪(ちょっと変な比喩だけど)が舞ってきた。
思わず「わぁ〜〜〜っ!」と窓からしばらくその様子を眺めていた。
ソファに戻ると、サクラの寝息が聞こえなくなっていた。
あれはサクラのメッセージだったんだと思う。
キリの時の失敗(ペットロス)もあって、
サクラの時は、思いっきり泣くことにした。
わぁわぁ泣いていると、
「21年も生きたのなら大往生だから、褒めてあげんと。」
と母の言葉にすごく救われたっけ。
自分用に、当時の日記(ブログ)をコピペしておく。
今日、実家で飼っていた犬が15年間の命を閉じた。
母の腕の中で、じっと顔を見ていたと言う。
どちらかというと「犬派」だった私が初めて猫を飼ったのは、
一人暮らしをはじめて間もない頃、妹がアレルギーになってしまい、
飼っていたパトカー猫(白黒)を預かった時だった。
名前はモモ。
でも、猫を飼ったことのない人にありがちな、初歩的な失敗でモモは家出をしてしまった。
ずいぶん探し回ったけれど、見つけられなかった。結局、心が通い合わないままだった。
それからだいぶ経ってから、近くのアパートの階段で見かけた。
名前を呼びながら近寄ったら逃げてしまった。
毛並みもよく、首輪もしていたようだったので、
誰かに懐いて飼って貰っているのだろうと、探すのをやめた。
それからすぐに知り合いから子猫をもらうことになった。
それがサクラ。最初家に来た仔がモモ(桃)だったので、流れでサクラにした。
サクラはおとなしい仔で、いままで困らせるようなことを一度もしたことがない。
小さい頃から、ネコジャラシにも飛び掛ってこないお嬢様のような仔だった。
小柄な仔だったので、いつも二本の指を前足の脇の部分にひっかけて持ち上げていた。
何度か病院通いもした。
生まれつき耳が聞こえず、斜頸で、猫背なため脊椎を圧迫して神経が麻痺したこともあった。
「この仔はあまり長くないかもしれないので、覚悟をしておいてください」と言われたこともあった。
去年、口内炎と歯周病から肝臓やら腎臓やらが悪くなって病院通いをした時も、
お医者さんからは「脅威の回復力!」と言われた。
そのサクラは今年で21歳。
さすがに今回は無理かもしれない。
もう4~5日前からご飯を食べなくなってしまった。
殆ど寝たきりだったサクラが、もう体力もないはずなのに、
うろうろとよたつく足取りで歩き回りはじめた。
何かを探し回っているようだ。
日に日に痩せこけていく。命のともし火が消え入るように。
病院に連れて行き、栄養剤の点滴を受けさせようか悩む。
キリの時にも悩んだけれど、助からない命を数日延命させるのは飼い主のエゴなのかと。
* * *
お昼の12時半過ぎ、さくら永眠。
静かな、ほんとに静かな最期だった。